歴史を学んでから行くと味わい深い、ノルデスチ観光スポット

This post was written by chiemin on August 6, 2016

さてこちらの記事で触れていただいたノルデスチ。リオやSalvador、Ouro Pretoなどのように一目見ただけでゴージャスな観光地と比べ、見劣りするであろう。しかしながら、ここにはまだ開発され、商業化されてしまっていない素朴な魅力がある。この記事ではそのいくつかについて、筆者のお勧めしたいノルデスチ観光スポットを紹介する。

1.レシフェ

まずはレシフェだが、日本人である私は、この町を「ブラジルの長崎」と名付けたいと思う。もうお気づきかもしれないが、レシフェは元々オランダ植民地だったのだ。1630年、オランダはポルトガルのコントロールがあまり強くなかったノルデスチの湾岸のコントロールを獲得する。まずは当時ポルトガルによるノルデスチ支配中心地であったレシフェからやや北に位置するOlinda(オリンダ)を侵略し、ここを拠点にサトウキビ貿易をコントロールするだけでなく、ブラジルだけでなくその他、南北アメリカ大陸の領土獲得と植民のための探検を行った。

残念ながら、オランダはその20年後にポルトガルとの戦いに負け撤退しているため、レシフェ市内に特に目立ってオランダっぽいものがあるわけではないのだが、街ゆく人々で「私はオランダ系だ」とか、「この町のメンタリティーはオランダ由来だ」などという人もいるので、その真偽はともかくとして、少なくともこの町のアイデンティティとして生きているのだと思う。

olinda

(Photo Credit:Wikiedia)コロニアル調のオリンダ中心街では、ホテルやレストラン、観光客にはうれしい音楽関連のイベントなどもたくさんある。

唯一、町の中心街にシナゴーグがあるのだが、これはオランダ由来といってもいいかもしれない。というのも、このシナゴーグは新大陸で初めて設立されたシナゴーグで、設立は1636年である。植民地時代、ポルトガルおよびスペインではユダヤ教が迫害されていたのだが、オランダ支配中のこの年に、新大陸で迫害を逃れたユダヤ人たちがここにシナゴーグを立てたとされている。

しなごぐ

シナゴーグは町中のコロニアル調家屋の一つにある。

2.カチンバウ国立公園

また、レシフェを離れて内陸部に進むと、ここはノルデスチの中でもSertãoと呼ばれる地帯に入ってくる。まずはParque Nacional do Catimbauをお勧めしたい。ここではちょっと面白い地形と素晴らしいパノラマを楽しむことができる。訪問はできるかわからないのだが、近くには先住民コミュニティも残る。まだあまり観光開発はされておらず、地質学や文化人類学の研究ツアーのほうが観光客より多く訪れる状態なのだそうだが、ここにたどり着くまでの旅路も面白いのでお勧めしたい。

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このように変わった形や変わった色の岩の観察が楽しめる。

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このゴージャスな景色は、カチンバウのほんの一部なのだ

3.ガラニュンス

そしてカチンバウ公園の近くにある町、Garanhuns(ガラニュンス)も紹介したい。ここは到着した瞬間、クスコを思い出させる雰囲気があった。もちろんクスコほどゴージャスではないのだが、何となく高地で、カラッと寒い空気、それと人間の姿かたちがクスコとオーバーラップしたのである。ここでは毎年7月末に冬フェスティバルが行われ、私たちが通りがかった日はちょうどフェスティバル期間にあたったこともクスコのお祭り騒ぎ感を思い出させたのかもしれない。このフェスティバルにはノルデスチ中からヒップスターな若者たちが集まり音楽を楽しむので、町全体も楽しく、こんな内陸に来たとは思えないおしゃれな雰囲気であった。しかし、フェスティバル期間以外はあまり観光に向いていないかもしれないが、地域の商業中心地として宿泊先やレストランなどは充実しているので、旅の経由地にはいい。

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フェスティバルではForróや Sambaなどのブラジル伝統的・文化的音楽も楽しめる他、ReggaeやブラジリアンカントリーといえるSertanejo、そして Popやブラジル版ラップといえるFunkも聞こえた。

4.サン・ミゲル・ドス・ミラグレスから北の海岸地域

先ほど上で紹介したPorto de Galinhasは観光地として楽しくはあるものの、商業的で海は少し汚れている印象を持ったが、同様の特徴を持ち、より静かで穏やかにヴァケーションを過ごせるビーチタウンとして、San Miguel dos Milagresより北のビーチをお勧めしたい。私たちはサンミゲルに宿泊したのだが、砂浜を散策するのもなかなかよかったし、またアトラクションとしては引き潮時、少し沖にあるサンゴ礁にできるプールへシュノーケルにいったのだが、水もきれいでとてもよかった。ここ以外にもMaragogi(マラゴジ)、Praia dos Carneiros(プラヤ・ドス・カルネイロス)などもとても評判がよく、いろいろな価格帯のホテルやレストランがあるので、幅広い旅行客に使いやすかもしれない。

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こちらはFarol de Nazaréから眺める古い要塞の跡地である。ここからポルトガル植民地のリーダーたちは敵国から領土を守っていたのだ。いまは土壌浸食がすすみ、火星のような状況になっている

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