国境

映画「皆殺しのバラッド—メキシコ麻薬戦争の光と闇—」から読みとく人々の人生観

This post was written by pankoh on April 7, 2015

今週末、2015年4月11日(土)にいよいよ日本で公開される「皆殺しのバラッド—メキシコ麻薬戦争の光と闇—」(原題:Narco Cultura)。このドキュメンタリー映画では、今まで公に語られることがなかったメキシコ麻薬戦争の影響が及ぶ地域で生きる人々の姿が作り隠すことなく描写されているのではないか、私はそう感じた。これは、カルテルと呼ばれる様々な麻薬組織(以下「ナルコ」と記載。)の抗争が引き起こす麻薬戦争、その事件や被害のみに視点を当てて描かれたものではない。2人の登場人物(リチとエドガー)、彼らが関係する周囲の人々に視点が置かれ、その語りや表情こそが、そこにある現実世界を映し出しているともいえる。この記事を通じて、この映画を制作した監督の視点を交えながら、ナルコの世界の影響下に暮らす人々の人生観について、映画から読み取れることを探って行きたい。この文章は、メキシコ麻薬戦争そのものについて議論をしたり、ナルコについて善悪の判断を下す趣旨のものではないことを伝えておきたい。 (さらに…)