作成者: pankoh

ラテンアメリカの人に魅せられ、メキシコ留学中に社会人類学を専攻する。農村から大都市にわたり数々のフィールドワークを通じて多くの人々の体験を見聞することで、多様な人生の形や幸せの形があることを知る。現在は、国際協力の仕事に携わる傍ら、こころの豊かさについて日々考えている。このブログを通じて、ラテンアメリカの人々や社会から学び、感じることをつらつらと綴っていきたい。

メキシコ、死者の日を想う

This post was written by pankoh on November 2, 2015

先週末は都内のあちらこちらで、仮装した人たちを見かけた。ハロウィーンのイベントは年々ものすごい勢いを見せているようだ。一方、毎年この時期になると死者の日のことを思い出す。メキシコの友人達が揃ってLa Catrinaと呼ばれるこのお祭りのシンボルともいえる貴婦人のフェイスペイントをして、綺麗に着飾った写真がたくさんアップされるからかもしれない。それらを見ていると自然と昔滞在した日々のことを懐かしく思い出して、あれが食べたいこれが食べたいと、食いしん坊な私は死者の日によく食べられるおいしいごちそうのことを思い浮かべてしまう。そうは言いつつもメキシコで初めて死者の日を祝った時は、日本人として私が体験したりイメージする「死」とはかけ離れたメキシコ人達の故人への向き合い方について知ったり、体験しているような気がして驚きがたくさんだった。

(さらに…)

映画「皆殺しのバラッド—メキシコ麻薬戦争の光と闇—」から読みとく人々の人生観

This post was written by pankoh on April 7, 2015

今週末、2015年4月11日(土)にいよいよ日本で公開される「皆殺しのバラッド—メキシコ麻薬戦争の光と闇—」(原題:Narco Cultura)。このドキュメンタリー映画では、今まで公に語られることがなかったメキシコ麻薬戦争の影響が及ぶ地域で生きる人々の姿が作り隠すことなく描写されているのではないか、私はそう感じた。これは、カルテルと呼ばれる様々な麻薬組織(以下「ナルコ」と記載。)の抗争が引き起こす麻薬戦争、その事件や被害のみに視点を当てて描かれたものではない。2人の登場人物(リチとエドガー)、彼らが関係する周囲の人々に視点が置かれ、その語りや表情こそが、そこにある現実世界を映し出しているともいえる。この記事を通じて、この映画を制作した監督の視点を交えながら、ナルコの世界の影響下に暮らす人々の人生観について、映画から読み取れることを探って行きたい。この文章は、メキシコ麻薬戦争そのものについて議論をしたり、ナルコについて善悪の判断を下す趣旨のものではないことを伝えておきたい。 (さらに…)